2023年7月2日(聖霊降臨節第6主日) 説教要約

説教題「喜びを表わす時」

聖書:ルカによる福音書 第17章11〜19節

イエスがエルサレムに上る途中、サマリアとガリラヤとの間を通られた。ある村に入ると、重い皮膚病を患っている10人が遠くに立ち止まったまま、声を上げて「イエスよ、憐れんでくれ」と願います。イエスは彼らを見て「祭司のところへ行って身体を見せなさい」と言います。彼らが祭司のところへ行く途中、癒されます。すると、一人のサマリア人は癒されたことを知って、大声で神を賛美しながら戻り、イエスの前にひれ伏し感謝しました。

イエスは言います。「清くされたのは10人ではなかったか、他の9人はどこへ行った。外国人の他に神を賛美するために戻ってきたものはいないのか」、と嘆き、サマリア人に向かって「あなたの信仰があなたを救った」と祝福するのです。

この奇跡物語は、「良きサマリア人」の譬えを思い起こさせます。イエスの福音、その救いの拡がりをサマリア人を通して知りますが、癒された他の9人はどこへ行ったのかと想像する時、神の前に生きる者の、その在り様、姿を考えさせられます。

奇跡は、イエスを通して神の意思が10人の病者の上に臨みました。彼らとイエスとの距離感が彼らが苦しんできたことを物語り、自らに降りかかる「罪」からイエスに近づくことを躊躇わせたのです。イエスは「祭司に見せろ」と言い、ここで「躊躇う」彼らに奇跡を行います。そこで、清くされたサマリア人は、素直にイエスの元へ戻って、ひれ伏して感謝の意を伝えるのです。

この物語の後に二つの聖句が示されます。17章20節、21節の言葉と17章33節です。「神の前に生きる」と言うこと、それがこのサマリア人の病者とイエスの前に来ることがなかった9人の人生観との間で考えさせられます。

主任担当教師 井上 勇一