2023年2月12日(降誕節第8主日) 説教要約

説教題「治す福音、癒す福音」

聖書:ルカによる福音書 第5章12〜26節

詩篇90篇「主よ、あなたは代々に私たちの宿るところ、山々が生まれる前から、大地が、人の世が生み出される前から、世々とこしえに、あなたは神」と、神が創造者であり主宰者であることを知ります。

創世記に描かれる神と人との関係は、神は主宰者であり、人は神の被造物で、生かしもし、滅ぼすこともする主宰者でありました。旧約聖書に描き出される神の姿とイエスの福音を通している神の姿、そこには大きな違いがあります。この違いは、隔てをつくる神と身近な神の姿であります。

隔てをつくる神は、モリヤの山ピスガの頂に立つモーセを通して知ります。そこには神の赦しはなく、始めから約束の地に入ることができないモーセがありました。この旧約の神に対して、イエスの福音に示される神は、罪人と言われる者も慰め、癒し、神の恵みに与かる者とします。その条件はなく、「ただ求める」という志によって、治り、癒されるのです。

なぜ、イエスの福音に示される神は、人との隔てをつくらず、人にかかり、積極的に癒し、慰めをするのでしょうか。なぜに神は、人にかかり身近に自らの意思を示すのでしょうか。

一つのヒントは「人は神にかたどって創られた」ゆえではないでしょうか。しかし、その神の似姿に創られた人は一生懸命に生きるし、真面目に働くし、愛想も良い。ただ、心弱く、忍耐強くなく、信じることに乏しく、愛することも弱い。イエスは神の人として「モデル」としてこの世に送られたと理解できます。

そのイエスが人を治し、癒す。そして「清くなれ」という。そこには何か、神の願いがイエスを介して示されているように思うのです。

主任担当教師 井上 勇一