2023年1月29日(降誕節第6主日) 説教要約
説教題「終末は、今は来ない」
聖書:ルカによる福音書 第21章1〜9節
聖霊降臨後、教会は生まれました。エルサレムを中心に信徒が増え、徐々に拡がり、シリアやダマスカスなど他国へと拡がっていきます。そんな中で迫害と言う厳しい試練、さらには神の都エルサレムがローマの弾圧下に破壊され、厳しい経験をします。今日のルカによる福音書21章はそんな出来事を踏まえて描かれ、イエスが終末について語ります。
ここでイエスは「終末は、今は来ない」と言う一方、神殿の崩壊、エルサレムの滅亡を予告します。「今は来ない」と言う「今」はいつ頃なのでしょうか。そして神殿崩壊、エルサレムの滅亡と終末予兆との因果関係はあるのかないのか、そんなことを詮索します。ただ、神を信じ、キリストを信ずるものには、終末は「神の国の到来の時」、「解放の時」であると言います。イエスは、ここで「終末とその予兆」を語り、この時に備え、「神の前に立つことができるように、目を覚まして祈れ」と勧めます。
福音書は「神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神」、「神の国は実にあなたがたの間にある」と、そして「こころを尽くし、全力を尽くして神を愛し、あなたの隣人を自分のように愛せよ」と勧めます。
この特徴ある言葉を考え、「終末は今は来ない」との言葉から、イエスはこの世において神の国を先取るように願っています。それ故に聖霊を送り、教会を立て、神を求める者に「信仰を養う場」を与えています。そう理解できるのです。イエスは言います「貧しい者は幸いである。神の国はあなたがたのものである。」と。貧しい者、飢えている者、悲しんでいる者が何故に幸いなのでしょうか。それは、この場から新たに出発しようとする志、力が強いからと言えます。そう理解できないでしょうか。
主任担当教師 井上 勇一