2023年1月8日(降誕節第3主日) 説教要約
説教題「聖霊が鳩のように降る」
聖書:ルカによる福音書 第3章15〜22節
ルカによる福音書の特徴の一つに、ものごとを具体化しようとする試みがされていることであります。「人の子イエスが神の福音の使者、救い主として活動した」という事実に対して、それでは、その人はどんな生まれ方をしたのか、どんな少年時代を過ごしたのか、ルカは具体的にそのことを物語として語るのです。また、イエスの生涯は、神の福音としてこの世に示された時、どういう目的であったのか、このことも具体的に言えば、民衆の解放であり、自由であり、希望であったと説き、「貧しい者の幸い」として表現します。
その一方、一つ一つの物語においても「具体化」した表現をもって、当時の人たちが福音のメッセージを受け止められるように、本来見えないものを具体的に見えるように表現して、その質を示します。例えば、今日の聖句「聖霊が鳩のように降る」とし、聖霊が平和と平安の使者として、目に見えるように降ったと表すのです。人の子イエスは、このようにして性格づけがされて、神の福音の使者としての務めを果たします。
イエスは人の子でありながら、人とは違って示される特徴があります。それが、ヨハネとイエスとの違いであります。ヨハネは「水でバプテスマをする」と言い、イエスは「聖霊と火でバプテスマをする」と言い、違いを表します。「水はこの世に生きる時、生きる源」のような存在、ヨハネはその働きのために「悔い改めの活動」をしました。これに対して、イエスは「聖霊と火とをもって、人にバプテスマをする」とし、福音運動を展開しました。この「聖霊と火」とは、神と人とをつなぐパイプであります。イエスは自らがその働きをするために、人を救いに導くために、自らを捧げる決断、それがイエスのバプテスマということであります。
主任担当教師 井上 勇一