12月18日(待降節第1主日) 説教要約

説教題「受胎告知」

聖書:ルカによる福音書 第1章26〜38節

次週12月25日がいよいよクリスマス礼拝です。今年はルカによる福音書第2章1〜20節が与えられていますが、今日はその前の18日の待降節最後の聖日であります。「受胎告知」と題したお話をいたします。福音書では、受胎告知がヨハネの誕生とイエスの誕生と並列で語られ、ヨハネの場合は今までの歴史における「神の子」の誕生物語に位置づけられ、これに対してイエスの場合は「新しい」神の子の誕生物語と位置付けられています。幼子の誕生においても「新しい時の到来」が告げられ、新しい神の時代が来たことを語っています。

新しい神の時代、イエスによってもたらされた時の到来は、福音の拡がりであります。民族の枠を超え、すべての者に開かれた福音、ルカはそれを「貧しさ」として強調し、貧しい者の福音として明らかにします。そして世界に向かって「福音による解放・自由・希望」が宣言されます(ルカによる福音書4:18〜19)。

「新しさ」は何でしょうか。イエスのグループは、イスラエル社会では迫害を受けます。ただ、ユダヤの民であっても、異邦の民であっても「貧しい者」に福音は拡がり、福音を求めた民衆は束縛された社会から解放され、自由を味わい、生きる希望を起こすのです。もう一つは、イエスを通して明らかにされた福音です。そこには裁く神、怒る神はなく、寄り添い、癒し、憐む神の姿でした。「赦す神」「愛する神」の性格が示されたのです。この神の姿の新しさでした。

受胎告知を受けるマリア。若い純朴な姿、神の言葉を不安の中にあっても素直に受け止めようとする姿勢。ここにも「聖書に見る新しさ」を発見します。

聖書に見る新しさは、何か、考えさせられますが、そこに純真さ、素朴さを強調する姿勢を見るのであります。

主任担当教師 井上 勇一