10月30日(降誕前節第8主日) 説教要約
説教題「こころに光をともす」
聖書:ルカによる福音書 第11章33〜41節
私たちは、「ふと思うこと」がよくあります。私は散歩の終わりに柔軟体操をして、深呼吸をし、黙祷をして終わります。鴨川の川辺には水鳥が餌を食べ、大きな鯉が泳ぎ、川縁には雑草が茂って、最近は伸びたススキが風になびいてる。そんな光景を見つめながら、深呼吸をすると、「ふと、人は神様によって生かされている身である」ことを知らされます。
神の前に生きる私ではなく、「生かされている」自分。この私たちに向かってイエスは、心に灯火を灯せと勧め、「器の中にあるものを人に施し」、心の清さを保てと勧めるのであります。
現実の世界に生きる私たちは人との駆け引き、利益追求、人を避難し、侮辱したり、攻撃したりと、自らが生きるために行動を起こします。さらに、自らは相手にスキを見せず、責められることを避け、人によく思われたいと願います。さらには人から褒められることを欲し、尊ばれることを望みます。神に生かされていることを忘れ、自分の力で生きているように振る舞う自分があります。
イエスが心に灯火を灯せ、心を清く保てという背後には「自分で生きている」と錯覚する自分を発見します。以前話しましたが、北海道の名寄教会を建てた人たちのことであります。彼らは京都丹波教会の信徒たちでありました。特に胡麻にあった会堂は仏教徒や農民たちの迫害に遭い、会堂は焼き討ちされ、村八分にされました。その彼らが迫害から逃れるために、北海道へ移住し、厳しい生活の中で、信仰の拠点教会を設立するのでありました。今もその名寄教会は残り、町の文化財としてありますが、熱き祈り、熱き信仰を見るのです。心に灯火を灯す、清く保った証しとして受け止めたいと思います。
主任担当教師 井上 勇一