9月25日(聖霊降臨節第17主日) 説教要約
説教題「こころを尽くして」
聖書:マルコによる福音書 第14章1〜9節
ベタニアのライ病を患うシモンの家での出来事、一人の女が高価な香油をイエスの頭に注いだことから物語が始まります。この物語はイエスが十字架の死へと向かう中で、香油を塗る行為は重要な出来事として描かれます。イエスの言葉から「埋葬の準備をした」と知られます。ヨハネによる福音書では、この場所は死から蘇ったラザロの家で、香油を塗ったのはマリアとして描かれ、マリアは足に塗り、それを自身の髪の毛で拭ったとあります。
ここには2つの鍵となる言葉があります。一つは「高価な香油」、もう一つは「いつも一緒にいるわけではない」というものであります。イエスの「一緒にいるわけではない」は今後起こることの予告、特にヨハネによる福音書16章以下、「弁護者を送る」為に、「悲しみが喜びに変わる為に、再び再開する為に」必要な出来事を予告するのです。
これに対して、マリアは高価な香油をイエスの頭に注ぐことで、イエスの約束が実現することを受け止める行為として、高価な香油を注ぐのであります。香油は葬式の時に遺体に塗るのでありますが、ここでの「香油を塗る」行為は、生きる命への信頼を明らかにする行為として受け止められるのであります。
マリアの信仰、そこにはイエスへの深い信頼を見ることができますが、その深さが香油の価値として示されています。この信頼、信仰によって、イエスの復活が用意されていったことを考えると、イエスへの深い信頼によって、私たち自身の復活、約束の実現が為されていくと受け止めることができます。イエスが「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神を愛せよ」と勧めますが、先の予測をマリアの行為を通して知るのであります。
主任担当教師 井上 勇一