9月11日(聖霊降臨節第15主日) 説教要約

説教題「イエスの新しい掟」

聖書:マルコによる福音書 第12章28〜34節

イエスの福音宣教は、行動を通して「神のこころ」を伝え、言葉をもって「救いの道」を語ります。今日の聖句はイエスが示す「新しい掟」であります。神は民との歩みの中で、戒めを明らかにします。「十戒」、「律法」、そしてイエスの掟であります。イエスが示した新しい掟は、他の掟に比べると、短く、端的であります。律法は、祭儀、生活、行政、裁判と民が神の前に生きる規律が細かく示されるのに対して、ただ二つの掟を示します。「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい」、これが一つ。そして「隣人を自分のように愛しなさい。」であります。ただ、このイエスの掟も新しいものかと言えばそうではなく、申命記、レビ記に二つの掟が記されています。

旧約における「掟」もそうですが、イエスの掟は、掟を求めることを通して、そこに何を創り出そうとしたのだろうかと考えさせられます。

イザヤは「一人のみどりごが私たちのために生まれた」(イザヤ書9:5)といい、「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君と唱えられる」と謳います。この予告を受けて救い主が誕生します。この時、神の使いは「いと高きところには栄光、神にあれ。地には平和、御心に適う人にあれ」と歌い、御子の誕生を祝いました。イエスが都エルサレムに入場を果たす時、「イエスはその都のために泣いて言われた。もし、この日、お前も平和の道をわきまえていたら・・・、しかし今はそれがお前には見えない」と嘆きます。そして、十字架に自らの命を懸けていくのであります。

イエスが福音をこの世に示す。そして「神を愛し、隣人を愛せ!」と勧めます。それはこの世界に「平和」を実現するためではないでしょうか。

主任担当教師 井上 勇一