9月4日(聖霊降臨節第14主日) 説教要約

説教題「隅の親石」

聖書:マルコによる福音書 第12章1〜12節

今日の聖句は「ブドウ園と農夫」の譬えであります。この譬えは「神の権威」が課題です。神の権威は聖書においては絶対的であります。神の権威を受けたものとして「油注がれたもの」という表現がされます。アブラハムに始まり、代々と受け継がれていきます。サムエル記にはサウル王の物語がありますが、彼は油注がれた者として、神の権威をもってイスラエル王国初代の王となります。晩年サウルはねたみと嫉妬によって、次の王ダビデと対立します。その彼がペリシテ人との戦いで深手を負い、部下に殺すように命じます。部下は王の命令に従ってサウルを殺します。そのことをダビデに報告すると、ダビデは「油注がれた王」を殺す行為に怒り、その部下を始末します。神の権威を犯す行為としたのであります。

神の権威、イエスは、自らの権威を「ブドウ園と農夫」の譬えをもって明らかにします。収穫の取り分を受け取るために領主は農夫のところに最初は領主の僕を送ります。彼らは僕に深手を負わせて帰し、収穫を独占します。最後に領主は跡取りを送りますが、農夫たちは跡取りがいなければ、収穫を全て自分たちのものにできると、跡取りを殺してしまうのです。神の権威という収穫が人の前に蔑ろにされる現実、さらに、自らの死を先取る「譬え」として語られます。

神の権威はイエスを通して示されました。イエスは神の権威をこの世に示すために、福音を明らかにしました。この福音によって多くの者が救われ、癒されますが、イエスが父なる神から受けた権威は受け入れられず、死へと追いやられます。しかし、神はイエスを復活させ、神の権威をイエスを通して明らかにされるのです。

主任担当教師 井上 勇一