8月14日(聖霊降臨節第11主日) 説教要約

説教題「自らの塩をもて」

聖書:マルコによる福音書 第9章42〜50節

「平和をつくり出す人は幸いである。その人は神の人と呼ばれる。」と山上の説教でイエスは語ります。イエスはこの説教の中で、律法の教えに対抗するように「目には目を、歯には歯をと言われてきたが、わたしは、誰かがわたしの右の頬を打つなら、左の頬をも向けろ」と言い、さらに「隣人を愛し、敵を憎めというが、私は言っておく、敵を愛し、敵のために祈れ」と言います。

このイエスの非戦思想に、さらにイエスは今日の聖書で誘惑に遇うのであれば、その手を、その目を捨ててしまえ、失っても神の国に入る方が余程ましだと言います。そして、自らの内に塩を持てと言うのであります。

今日、皆さんで「第2次世界大戦下における日本基督教団の責任についての告白」を読みました。「世の光、地の塩である教会は、あの戦争に同調すべきではありませんでした」と告白し、「私たちの国が罪を犯した時、私たち教会もその罪に陥り、『見張り』としての使命を果たせなかった」と世界の教会にその罪を懺悔し、赦してほしいと願うのです。

私たちはイエスが言うように「平和をつくり出す人」でありたいと願い、信仰生活の中で、養い続けています。今回、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、東アジアにおいても台湾有事が近いと情報が飛び交っています。そんな中、日本では軍備を増強しなければという「気運」が高まっています。ふと、気づくと「平和をつくり出したい」と願う者が「気運にも同調している」のであります。何か、人間が変調する姿に恐ろしさを感じます。

イエスは、「自らの塩を持て」と言い、「平和に過ごせ」と言います。塩は良いものである。この良いものとは互いが願う平和の戦略と言えるものではないでしょうか。

主任担当教師 井上 勇一