7月3日(聖霊降臨節第5主日) 説教要約

説教題「こころを覗く」

聖書:マルコによる福音書 第6章1〜13節

イエスは、故郷ナザレでの福音宣教を試みます。ただ、ナザレの人たちは、イエスの教えに驚きつつも「マリアの息子で、大工の息子ではないか」と、イエスの素性を知り、一緒に住む家族の兄弟と受け止めるではないかと、身内のようにイエスを見るのであります。イエスは「預言者は家族や故郷では敬われない」と言い、「彼らはイエスにつまづいた。」と言います。その結果、イエスはナザレでは奇跡を行うことができなかった。そして彼らの不信仰に驚いたと言います。

今日の聖書課題は、イエスのナザレ宣教に加えて、イエスの弟子たちの宣教の様子が語られます。イエスは宣教に先立ち、「杖一本の他何も持っていくな」といい、「その家が迎え入れたら、その街を出るまでそこに留まれ」と言って、弟子たちを宣教に送り出していきます。彼らは出かけていき、悪霊を追い出し、油を塗って多くの病人を癒したのであります。

「イエスにつまづく」という言葉。「彼らの不信仰に驚いた」とあります。また、弟子の派遣に際して、「狼の群れに羊を送り込むようなもの」とあり、「ヘビのように賢く、ハトのように素直に、人々を警戒しなさい。」といいます。しかも「迫害を受ける」ともいうのです。

福音宣教の厳しさが見えます。新しい福音を前に、人の不信仰。それは人の素朴さを前にしても福音は届かず、心を閉ざす人たち。この人の頑なさを前に、大胆な行動が求められ、そして福音を宣べるという姿勢が求められたのです。「何も持たず、ただ、福音を伝えること」を宣教の在り様とする方法が第一とされました。

福音は、福音のこころをもって告げることを第一とされる、そんなイエスの姿勢を見ます。

主任担当教師 井上 勇一