6月26日(聖霊降臨節第4主日) 説教要約

説教題「名はレギオン」

聖書:マルコによる福音書 第5章1〜20節

イエスの福音宣教と旧約聖書における宣教は異なった違いを見ます。イエスの福音は人と人とのつながりを作り、「一つ」にしていく働きと見ますが、律法における宣教は、人と人とを分けることで「一つ」になっていく働きがあります。そのイエスの宣教が、ガリラヤから異邦人が住む世界(デカポリス地方)へと拡がり、今日の聖句はレギオンという名の悪霊を追い出す物語であります。

「神の福音が伝えられることは神の霊に人が変えられていくこと」と理解すると、悪霊レギオンからの追放は異教の世界に染まる一人の人間が、イエスの福音によって神の霊に変えられた様子が語られていると受け止められるのです。

ここで異教世界と向き合うイエスの姿勢であります。デカポリスはギリシャによって造れた10の都市を指し、戦略上、そこに住む人たちがイエスの福音をどう受け止めたかを考えさせられます。レギオンの霊は、その人から離れて豚の大群の中に逃げ込みます。レギオンが入った豚は怒涛を為して湖の中に入り、溺れ死んでいきます。この様子を見た土地の者たちは、イエスに「この地方から出て行ってほしい」というのであります。イエスの一行は出ていくのですが、イエスに癒された者が一人デカポリス地方に福音の種まきをして行くのです。

エゼキエル書第47章「命の水」を思い起こします。命の水が神殿の床から泉となって湧き溢れ、細い流れが徐々に勢いを増し、小さな川となり、人がわたることができない河となり、大河となって大地を潤す。その水を飲む者は生き返り、神の恵みを謳歌する。

「種を蒔く」ことの大切さ、そして「時を待つこと」も大切と知らされるのです。

主任担当教師 井上 勇一