5月29日(復活節第7主日) 説教要約

説教題「父を知り、子を知る」

聖書:ヨハネによる福音書 第17章1〜13節

神は、人の歩む道に目を注ぎ、その一歩一歩を知るとあります(ヨブ記34:21)。神は全能にして全知なる方といいます。この神に対し、人はどれほどに神を知り、子を知るでしょうか。本日の聖書は「永遠の命を知ることは、唯一まことなる神とあなたが遣わしたイエス・キリストを知ること」と言います。聖書では「知る」ことは神の前に立つ人の大切な行為と言え、知る、知らないことに人間の在り様にも係る課題となります。

詩篇90篇は、人の生涯を「ため息のように消えうせ」る存在とし、知ることも限りあるものであるが、その生涯を正しく数え、知恵あるこころを得ることができるようにと祈ります。ヨハネによる福音書は「神を見たものはいない。一人の子である神、この方が神を示した」と言います。一つに人間の限りある存在、もう一つに「神を見ることができない」という現実。この中で、イエスを通して父なる神を知ることしか道がないと示すのである。ヘブル書11章1節では「信仰とは望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認すること」と言いますが「信仰」によって「知る」ことにつながり、イエスを知ることで父なる神を知ることが赦されると言うのであります。

私たちが「神を知る」、もう一つ考えることは私たちには知ること、その能力にも限界があると言うことです。すべてには「時」があると言いますし、「神を知ろうとする」時があるとなれば、その時も少ない。コヘレトは「神を知ることも空しいことだ」と言いますが、最後にすべて耳を傾けた結論として「神を畏れ、その戒めを守れ」、「これこそ、人間の全て」と言っています。

これに対して、イエスはさらに弁護者を送ると約束します。この意図は神の配慮として知ることができます。

主任担当教師 井上 勇一