5月1日(復活節第3主日) 説教要約

説教題「父から受けた掟」

聖書:ヨハネによる福音書 第10章7〜18節

復活のイエスは、ペテロに向かって3度「わたしの羊を養え」と言います。またイエスは自らを「犠牲に捧げられる子羊」と譬え、自らが「犠牲のしるし」として捧げられると予告します。そして、「良き羊飼いの譬え」において、「羊のために命を賭して養う羊飼いの志」を「父から受けた掟」と言い、己の行くべき道を語るのであります。イエスは、神の福音をこの世に明かにし、この自らに課せられた「掟」を実行し、自らの務めを果たす。そして、今度は弟子のペテロに向かって、「羊を養え」と命じるのです。

「羊」は聖書の民にとって大事な財産でしたし、神に捧げる貴重な徴でした。いわば、神の民とって、生きる基本的必要不可欠の家畜でありました。その家畜を管理する羊飼いは、羊を育て守ることが民の繁栄、更には神と民とをつなぐ絆であった。イスラエルの祖であるヤコブは羊飼いを成相とし、代々、羊飼いはイスラエル社会にあって基本的な生活の基となっていくのです。詩編23篇は、羊飼いの働きをもって、神の前にある人を描き、神の恵み、人の献身を語るのです。

イエスは、この「羊」、「羊飼い」をもって、神と人との関係を強調します。そして、自らも「羊飼い」としての職務を果たし、神の付託に応えることを強調するのです。詩篇の言葉は、イエスとわたしとの関係に置き換えられ、イエスの福音が生きる糧となり力となることを明らかにされます。ペテロはイエスの勧めに「何もかもご存じです」と応えますが、このペテロの応答には「福音が生きる糧、力である」と告白するペテロがあります。イエスはそのペテロに「わたしの羊を養え」といいます。この時のペテロの志は、イエスの志と同じものとなっていたでしょう。

現代の教会もこのイエスの志を受け継いでいるのです。

主任担当教師 井上 勇一