2023年3月5日(受難節第2主日) 説教要約
説教題「神の指が動く時」
聖書:ルカによる福音書 第11章14〜26節
聖書は、神が創造した世界にあって、人は、二つの領袖が生きている世界に生きてたことがわかります。一つは悪霊の領袖が生きる世界であり、もう一つが神の世界であり、聖霊が漂う世界であります。しかも私たち自身も、神の質を持つ部分と罪の質を持つ部分とを持ってこの世に生きています。だから、罪を犯し悪に染まる自分があったり、また神に適うことを行い、神の救いに与かる者であったりします。
ヨブの物語を読むと、神の創った世界にあって、悪の試みを受けるヨブがあります。そこで苦難を体験し、この苦難によって、「神を試し、神に嘆くヨブ」が描き出され、「神への信従を捨て、己を守るヨブ」が浮かび上がります。すると神は「神の経綸を暗くするとは」とヨブの行為を叱責するのであります。この物語は、私たち人が神の前にも、また悪の世界にも漂うように生きているもの。そして、私たちに「あなたはどう生きるのか」と問う物語として描くのであります。ヨブは最後、「神の経綸を隠そう」としたことを認め、全面的に悔い改め、再び神の子とされるのです。
今日の聖句で「神の指」という言葉があります。聖書には4回使われますが、一つは申命記9:10「主は、神の指で記された2枚の石の板を授けた」、もう一つは詩篇の記者が「あなたの天を、あなたの指のわざを」と讃美を捧げます。「神の指」は神ご自身が直接にことを起こす行為を指します。イエスは「わたしが神の指で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところへ来ている」と言います。
悪霊が漂う世界から誘惑があります。神の霊が漂う世界に会って、どちらに立つか、問うイエスがあります。
主任担当教師 井上 勇一