3月13日(受難節第2主日) 説教要約

説教題「こころの戦い」

聖書:マルコによる福音書 第3章20〜30節

イエスは神の福音を語るために、2つの心の整理をします。一つは荒れ野での体験と、もう一つは悪霊ベルゼブルとの心の闘いです。このイエスの心の闘いは、神の福音をこの世に示すための備えとして理解することができます。神の福音をこの世に示すために、心を整え、社会に向けた姿勢を整えるのです。

荒れ野での試練は私たちの心に沸き起こる欲であります。それを「神を愛し、神の言葉によって生きる」志をもって克服する。また、悪霊を神の意思をもって追い出すことで人が癒される。イエスはこの姿勢に徹して、神の意志を表わし、人に仕え、癒し、生きる力を宿すのです。「エゴ」という言葉に対して「他者」という言葉がありますが、イエスの行為、福音は、全て「他者」に向かってなされた行為ということができます。

この「私」を超えて他者に向かう姿勢から、イエスが示す指示は、「神を愛し、隣人を愛しなさい」という勧めであります。私の願いを超えて、主なる神を信じ、愛する。そして、自分を愛するようにあなたの隣人を愛する。私たちの信仰の歩みは、このことを願いながら求道し続けることではないでしょうか。不完全であるし、未熟でもあるし、至らない点が多々ある私たちではありますが、このことを願い続けるのです。

「それは何故か?」、私たちは、イエスと同じ性格(神の性質)を持ち合わせているからか?それとも、神の恵みに与かるために、求めようとする私がいるからか?と考えると、私の意志は弱く、もろく崩れやすいものです。関心のない者に「神などいない」とあしらってしまう。こんな私もあります。そんな「私たち」に生きる指針を与えた方、それがイエス・キリストなのです。

主任担任教師 井上 勇一